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タイ工場進出

タイ進出における必読の基本情報

それでもタイに進出すべきか?

タイへの工場進出は、既に、第1次進出、第2次進出、第3次進と多くの企業が進出し、サービス業も合わせると約8000社にも達していると言われています。また、それだけの数の会社が進出をしているにも関わらず、 未だに進出の動きが止まる事はありません。(2019年現在、新規の進出は一段落した感じになってきました。ただ、既存進出済み企業のタイ投資は日本で一番で投資は続いています。)これからも進出は続き、また、進出済みの企業さんは更なる拡大と成長は続くでしょうが、今から、タイへ工場進出して大丈夫なのか? そう言った疑問を少しでも解決する為にこのページを作成しました。是非、タイ進出検討の折、ご参考頂ければと思います。

タイ進出のメリット

1.安価な労働力(日本の1/7)
2.土地取得コストが安い
3.主なメーカーのタイ進出(客先のタイ進出)
4.成長市場
5.ライバルとなるタイ企業は技術的に、品質的に、低く、納期意識が低いなど、ライバルが弱い
6.ASEANなどの近隣諸国も狙って行ける
7.自分を成長させる為の道場とすると言う考え方(日本村とは違った国際感覚を養う為)
8.インドなどの巨大市場に打って出る為のバックアップ拠点として

注意しなければならない事

1.日本ではないと言う事(日本的な感覚が全く通じないと言う事)
2.(賃金は安いが)あまりにも低レベルなワーカー
3.単純ミスが連発する業務環境
4.見えないコストが重くのしかかってくる
5.決して安全とは言えない社会
6.脆弱なインフラ

各ポイント毎にタイの実情に迫りたいと思います。

人材の確保に関して

中小企業がタイに進出するに当たって最も注意しなければならないのは、なんと言っても人材の確保である。最も重要なポジションから順に考えていきたい。

現地法人社長

なんと言ってもこれが大切。
現地法人の社長に据える人材は、日本で最も優秀な若手をこれに当てて欲しい。
その上で、必要な事は
1.権限の委譲(全て本社に稟議を通して、とやっていたのでは絶対に進まない)
2.大胆な資金バックアップ(先ずは現金こそが戦力。本社で銀行に多額の借金をしてでもありったけの資金を投入する事)
3.失敗を恐れず進む勇気

工場長

製造の面で、現法社長をバックアップする存在。工場では、社長に次ぐNO.2。日本から駐在している日本人工場長も居れば、現地化が進んだ企業に置いては、タイ人が工場長を務めるケースも有り。
タイの工場では、当然ながらタイ人のワーカーが居り、リーダーが居り、マネージャーが居て、その上に工場長が居るので、意思疎通の面からも、タイでの製造業との事から、ここに一番優秀なタイ人を当てると、製造が円滑に進む。(工場長が日本人で、副工場長にタイ人を当てるケースも有る。逆も又然り)
ある日系企業では、このポジションにワーカーからの叩き上げを据えて、年々売上を伸ばして成功を収めている事例があるが、社長と二人三脚で進められれば理想的である。

GM(ゼネラル・マネージャ)

会社の中では、NO.3に当たる人物。業務は、営業、マーケティング、人事、総務などを統括する社長業務の代行の存在。(製造部門における工場長と、非製造部門におけるGMが双璧)

以上が社長、工場長、GM主要3名のポスト。会社の規模によっては、NO.2が工場長とゼネラル・マネージャ を兼任したり、優秀なタイ人に工場長を任せたりするケースもある。

これらのポストが日本からの駐在ポストになる事が多い。従業員数100名、工場の敷地面積が1600平米以下の場合は、日本人は最大でも3名までとする。(ケースによってはもう少し駐在員を置く場合もあり得るが、駐在員を絞るのはコストの面からも非常に重要。年間のコストは1名1000万円を超える為。理由は後述) それをサポートする日本人として、現地採用を雇うのが順当。

現地採用日本人スタッフ

現地採用スタッフを探すの正直な所、なかなかに困難である。優秀な人材ならすでにどこかに雇われているし、能力の無い人間はいつまでも求職をしている。 また、現地採用のスタッフは使えないと言う人も居るがトンデモナイ。みんな一緒である。駐在員だからと言って優秀な人もいれば、無能な人も居る。ただ、駐在員は手当てや保障が厚い分、 忠誠心が高い。現地採用は自己責任が原則なので、忠誠心は低くて直ぐに会社を辞める。(これも、一方では社会保障の充実した駐在員と、 全て自己責任としている現地採用では条件により会社を辞めるなどは致し方ない事と思う。であれば、それを防ぐ為には、本社採用に切り替えて駐在待遇にする必要がある)。

よく人材紹介会社に頼むと下記の様な基準の人材が、下記の希望給与を提示してくる。
待遇としては(月給として)
1.タイ語が喋れない20代前半~半ばくらいの未経験者3.5~4万B
2.タイ語が多少喋れる・英語がそこそこ業務に使える4~5万B
3.タイに住んで2~3年、コミュニケーション力もそこそこあり、30歳以降5~7万B
4.マネージャを張れて、6~8万B
5.副工場長クラスを任せられると10万B

1.から3.までは、飽く迄も補助スタッフとしての位置づけ。
4.になると使える人材も居り、中小企業としては、この4番目に良い人が入るとそれなりに業務は助かる。
5.になると在タイ年数もかなり長くなりタイ語も喋れるので、現法社長が(タイの事を知らな過ぎて)逆になめられるケースも出てくるが、ここでなめられる様なら、社長失格。 日本に逃げ帰った方が良い。ただ、この5番目の人材を上手く使いこなせれば、会社は大きく伸びる。

と、言う事で現地採用日本人としては、5を採用して欲しい。
(会社が圧倒的に伸びるのも5番をどれだけ良い人を採用できるかに掛かっている)

因みに、コストの比較であるが、月給10万Bとして年15ヶ月の給与の場合(賞与を考慮して)150万B。日本円にするとざっくり530万円。駐在員のコストは(給与だけでなく、諸々のすべてのコストを考慮すると)1000~1500万円を超えるので、非常にお得である。
※ WP(ワークパーミットを取得に当たって、日本人は月給5万B以上と言う規定が有るので、5万B未満の場合には違反となる。(但し、BOI企業を除く。)

優秀なタイ人スタッフ(工場長、副工場長、GM、アシスタントGMなど

もしかすると、現地採用日本人を採用するより重要なのが優秀なタイ人スタッフの存在。もしかしなくても、日本人より断然重要なので、コストを惜しまない事。 優秀なタイ人工場長がいれば生産が淀みなく回っていく。優秀なタイ人GMがいれば社内業務は丸投げできる。

そんな馬鹿な!?と思われる既進出企業の社長もいるかと思うが、では、一番優秀なタイ人に幾ら給与を払っているのか思い出して欲しい。因みに、日系企業には、 優秀なタイ人は殆ど就職しない。優秀なタイ人は、欧米の外資系である。日本でも、欧米の投資銀行などでは給与が1000万円、2000万円と破格の給与で日本人を雇っている。 他にもコンサルティングファームでは数千万円の給与である。でも、成果を上げるか心配だ、という企業もご心配なく。採用の際には、成果給として多額のコミッション制を導入すれば、 成績が出なければ辞めていくし、多額の給与を払う時は成果が上がっている時である。

但し、優秀なタイ人スタッフでも絶対に出来ない事。
1.日本企業への新規顧客開拓
2.日本本社への報告
当たり前と言えば、当たり前だが、これは現法社長(日本人)が対応する必要がある。
ただ、繰り返しになってしまうが、優秀なタイ人が居ると居ないとでは会社の運営が大きく変わってくるので、是非、ご留意頂ければと思う。

中小企業の進出に関して

最近の傾向では、ティア3の進出から、ティア4、ティア5と規模の小さい中小企業の進出が多くなってきた。特に工場の面積が300平米もあれば十分と言った企業もある。 ただ、300平米の工場が借りたいと言われれば、300平米の工場を探すしご提案も行う。
 



しかし、それ以上小さい物件となると数は無いし(そもそも300平米クラスの物件でも数が少ない)、大手のデベロッパーが開発しているような物件ではなく、タイのローカル企業が入っているような物件になってしまうので、 価格は安くて面積も小さいが、初めて日系企業が入居するにはちょっと大変な面があるかと思う。

それに加えて更に心配な事としては300平米以下の工場でどうやって利益を上げていくかである。タイに進出するメリットとして人件費の安さやすさなどがあるが、 工場が小さければ必然的にそこで働くワーカーさんの数が少なくなり、規模の利益などを追求しにくく成る。高付加価値商品を扱うのであれば、 工場面積が小さくても高い利益率が期待出来るであろうが、高付加価値であるならば生産工場としてタイ作らなくても、日本で作っても良いと言える。 (勿論、マーケットがタイ中心と言う事であれば進出する理由は十分あるが)

駐在員のコストに関して

駐在員のコストは実に高い。日本での給与とタイでの現地手当。また、住宅手当。家族連れの場合のアパートは月6~8万バーツ(約21万円~28万円)、 また、単身者向けのアパートでは月3.5万~5万バーツ(約12万円~17万円)掛かる。 (ただ、最近は、単身者向けとして2万バーツまでを会社負担としてそれ以上の部分を本人負担とする会社も増えている。) そして、車と運転手。カローラクラスの乗用車で運転手を入れると月5万バーツ(約17万円)掛かってしまう。勿論、通勤だけでなく普段は営業車としても利用するので、 車が無い訳にはいかないが、どうしても車も高くついてしまう。(1台で通勤時は日本人同士でシェアーするなどコスト削減は各社しているが、タイの地方では公共交通機関がないので、 移動はどうしても車になってしまう。)

他にも、年一度の日本への渡航費や、通信費、子供が居るのならば、日本人学校への負担金なども意外と知られていないがコストとして掛かってくる。 (タイの日本人学校が日本に居た時の様に義務教育で全て無料という訳には行かず、会社負担がある。)

それを考えると、駐在員一人あたりの年間コストはざっくり1~1,500万円以上になってしまう。当然、駐在員が二人になれば2~3,000万円、三人になれば3~4,500万円以上のコストが会社に乗りかかってしまう。 となると、収益計画を考えた上で、なんとか、日本人を2名程度に抑えようとなってくるが、その2名で工場内と、営業面の両方を攻めないと行けないので、生半可な苦労では上手くいかない。 そこで、前述の優秀なタイ人を上手く使っていく、日本人現地採用を雇用するなどの方法があるが、筆者が見るに日系企業が圧倒的に不足しているものとして営業力があげられるだろう。 これさえなんとか出来れば、利益さえ確保できるのならば、日本人が何人居ても、優秀なタイ人に高給を払ってもやっていける好循環が生まれるだろう。

ボーナスに関して

タイでは、洪水明けの自動車特需と、エコカー減税の特需により爆発的にタイ国内の自動車販売が増えた。その為、各社ともに販売好調の折、 ボーナスが大手自動車メーカーでは10ヶ月にもなる企業が多数出て、ティア1クラスの自動車部品メーカーではメーカーより一月少ない9ヶ月、 また、ティア1,2,3と大体8~9ヶ月、6~8ヶ月、3~6ヶ月とある程度幅はあるものの全体的には好調である。また、自動車関係だけが景気が良く、例えば、電気関係になると、 3ヶ月前後と自動車と比べると大分少ないが、自動車だけが特別であって普通は、そのくらいである。

他に、タイの銀行や、保険なども3ヶ月程度で、同じ銀行の中でも政府系の銀行など5~7ヶ月になり、基本給は少ないがボーナスなどでは大きく支給されている。
洪水明けの特需の後、一旦自動車生産が落ち込んだが、それでも上述のボーナスから1~3ヶ月分を引いたくらいの数字は出ているのでタイにおいて製造業のボーナスは高めであると言える。

さて、これから、進出する中小企業としては、隣の芝生は青く見えるワーカーの離職に対応を苦慮する事となるだろうが、社内の業績を組合側と話をして決めていくしか無いだろう。 ただ、タイではアユタヤ地域で特にワンノイ郡ではボーナスが年間1ヶ月と言った地域もあるので、そこではあまり大手自動車メーカーの高いボーナスに影響されていないので、 進出の際には地域を考えると良いかもしれない。(ただ、そこも、大洪水の被災地域であるのでそのリスクの不安はあるが)

最低賃金に関して

2013年1月1日からタイでは全県一律で一日あたりの最低賃金が300バーツにあがった。つまり、月給にするとそれに30日を掛けて9,000バーツとなる。 (よく1月の実労働日数は24日なのだから、月7,200バーツなのでは?と誤解される方も居らっしゃるかと思うが、タイでは30日で計算する。尚、一日は8hが基本労働時間)2020年現在、最も高いチョンブリ、ラヨーン県で336バーツ。バンコクで331バーツとなっている。

毎年7バーツ程度が最低賃金の上昇率であったので一気にレイバーコストが上がり、最早、労働集約型の産業はタイでは成り立たなくなってきた。 そこで、ミャンマー人やカンボジア人を労働者として連れてきて労働させているが、2014年6月に軍事クーデターにより労働許可を持っていないそれら外国人が一斉に摘発されるのではないか? として一斉帰国が始まり、3K労働の職場が成り立たなくなった為、軍事政府は簡易に労働許可を出すなど対策に乗り出しているが、そもそも、タイの3K労働環境は劣悪で、 特に、漁業や食品加工などはミャンマー人などが多く、漁業中に船内で暴行を受けたり、食事を与えない、 休みをとらせないなどかなり劣悪である為に国連人権理事会などで問題に上がったりする。

こんな無茶が永く続くはずがないので、そう言った産業は大きく転換を迫られるだろう。

外国人労働者に関して

タイでは多くの外国人労働者が働いており、日本人も外国人労働者である。しかし、今回取り上げるのは先進国の労働者の話ではなく、ミャンマー、 カンボジア、ラオスと言った単純労働をする労働者である。
タイの漁業や3K労働ではすでに100万人の外国人働いていると言われているが、製造業でも人材不足は顕著になり、 日系の製造業でもワーカーとして派遣会社から派遣され労働しているケースがある。
ただ、全く問題が無いわけでもなく、
1.タイ人との折り合いの問題
2.ビザ・労働許可などの法的な問題
3.言語の問題
など一筋縄では行かないだろう。

先ず、タイ人との折り合いに関しては、ある製造業の社長さんが仰っていたのだが、当初、ミャンマー人を工場で採用する際には、 タイ人のマネージャなどもミャンマー人なんてちゃんと働くのかどうかわかりませんよ、と言っていたが、イザ採用してみると、これが実によく働く。タイ人などと比べ物にならないほど働くので、 タイ人のマネージャが、今後は、ミャンマーのワーカーをどんどん採用しましょう、と言ってくる始末。となると、気に入らないのは、タイ人のワーカーで、ミャンマー人に仕事をさせない様に部材を 渡さなかったりして嫌がらせをするなど余所者が働きものであるとどうしても気に入らないのであろう。で、その会社ではどの様な対策をおこなったかと言うとラインを全てミャンマー人に置き換えた。

部材の引き渡しから、生産、そして、完成品の品質管理まで全て1ラインで行う事に寄って同じミャンマー人同士が母国語でコミュニケーションを図れ、より業務が円滑に進む様になったとの事。

ビザや労働許可に関しては、取得せずに不法労働をさせる訳にもいかないので、派遣業者に丸投げで全てビザ、労働許可を取得してから派遣されているので法的問題はクリアしている。 但し、その業者が潰れたりすると、派遣された全てのミャンマー人のビザ等の管理が出来なくなるとの事で、別の業者に籍を切り替えて、改めて派遣してもらう形になるので、そこが面倒である、 との事。また、ビザ等の取得費用などに一人1万バーツ位の料金がかかる為に、タイ人のスタッフが「何故、ミャンマー人だけに会社が経費を掛けるのか?不公平ではないか」との不満が出たとの事で、 社員旅行などはタイ人だけ参加として、ミャンマー人は参加させない事としてそれで釣り合いをとっているとの事。

言語に関しては、タイ語の出来るミャンマー人を雇って現場に任せるしか無いのが実情。ワーカーの管理の為に、日本語、ミャンマー語の通訳を雇う訳にも行かず (ただ、将来的に、ミャンマー進出が近いのであれば、それもありだが)、現場オペレーションに委ねる事になる。

将来的には、そのミャンマー人の中で最も優秀なスタッフがミャンマー工場設立の折、工場長に抜擢される日もそう遠くは無いかもしれない。