タイ、ベトナム(南北)の都市インフラ、工業団地比較
タイ進出における必読の基本情報
製造業進出 タイとベトナム南北(ホーチミン・ハノイ)比較マトリックス
今回は、製造業の海外進出を行う上で、タイ在住の製造業進出支援を行っている筆者がベトナム視察を行い得た情報を持って、今注目されているベトナム(南・北)とタイの比較を行った。
南ベトナムでは、ロンドゥック工業団地を視察したが、実ははるか以前にカシューナッツ畑になっている工業団地造成前の段階でも視察をしており、 ロテコ工業団地の開発が終わって次のターゲットとして準備されていた土地があっという間に巨大でインフラの整った工業団地に整備されていた。そのスピード感は凄いが、 開発している商社が日系であるのでインフラ整備やサービス体制の充実は目をみはるものがあった。
また、北ベトナムは、インフラ整備が急ピッチで進みハノイ市内からノイバイ国際空港までの道路が整備され(整備される前は、渋滞などで1時間以上平気でかかった)、 タンロンが販売終了し、第二タンロン工業団地が開発されこちらの土地が販売されるなど、南北ともに同じような速度で急速に開発が進んでいる。
タイは、タイのローカル資本のデベロッパーの開発が一段落しており、次の開発に向けての未開拓地の土地の買収など準備は進んでいるもののここ3年位景気が低迷している事もあり、 また、大洪水の後に土地を購入した企業が多く、最近では大きな動きは出ていない。それは、タイの自動車生産が250万台と洪水後に過去最高から、もう一段高の300万台、 と言った強気の声が聞かれる中、その勢いも虚しく、現在200万台と低迷している事に起因する。
では、何故、そこまで長く低迷しているかと言うと、先の軍事クーデターと軍事政権の影響が大きい、と言える。見かけ上は資本主義となっているタイと、開放政策に向う共産主義のベトナム。 一見すると大違いの政策のように見えるが、深く覗いてみると、資本主義を標榜して政治家(軍人)の個人的な利益を追求する軍事政権のタイと、 共産主義国政権下に置いて全体の利益よりも個人の利益を追求する共産国家(ただ、民衆から強く後ろ指を指される事を嫌がりゆっくりと進む)の2つの国に大きな違いはないのかもしれない。 主義主張とかけ離れた体制はASEANの国と言うアンビバレンツな体制に他ないのだが、それでも日本に比べれば活気も有り、確実に発展・拡大している。
ただ、その歩みは非常に遅く、もどかしいほどであるが、それでも確実に進歩はしている。 最近の傾向ではベトナムの勢いが良いよりもよく感じられるが、惜しむべくは、経済開放政策を次々に打ち出すベトナムが共産主義体制をとっとと捨てて、 資本主義体制に移行すれば、タイを遥かに凌ぐ爆発的な発展を遂げられるのだろうに、それが出来ないもどかしさがある。
以下に、タイとベトナムを比較したマトリックスを作成したので、進出の前に参考にして頂ければ幸いである。
(2017年2月現在)
南ベトナムでは、ロンドゥック工業団地を視察したが、実ははるか以前にカシューナッツ畑になっている工業団地造成前の段階でも視察をしており、 ロテコ工業団地の開発が終わって次のターゲットとして準備されていた土地があっという間に巨大でインフラの整った工業団地に整備されていた。そのスピード感は凄いが、 開発している商社が日系であるのでインフラ整備やサービス体制の充実は目をみはるものがあった。
また、北ベトナムは、インフラ整備が急ピッチで進みハノイ市内からノイバイ国際空港までの道路が整備され(整備される前は、渋滞などで1時間以上平気でかかった)、 タンロンが販売終了し、第二タンロン工業団地が開発されこちらの土地が販売されるなど、南北ともに同じような速度で急速に開発が進んでいる。
タイは、タイのローカル資本のデベロッパーの開発が一段落しており、次の開発に向けての未開拓地の土地の買収など準備は進んでいるもののここ3年位景気が低迷している事もあり、 また、大洪水の後に土地を購入した企業が多く、最近では大きな動きは出ていない。それは、タイの自動車生産が250万台と洪水後に過去最高から、もう一段高の300万台、 と言った強気の声が聞かれる中、その勢いも虚しく、現在200万台と低迷している事に起因する。
では、何故、そこまで長く低迷しているかと言うと、先の軍事クーデターと軍事政権の影響が大きい、と言える。見かけ上は資本主義となっているタイと、開放政策に向う共産主義のベトナム。 一見すると大違いの政策のように見えるが、深く覗いてみると、資本主義を標榜して政治家(軍人)の個人的な利益を追求する軍事政権のタイと、 共産主義国政権下に置いて全体の利益よりも個人の利益を追求する共産国家(ただ、民衆から強く後ろ指を指される事を嫌がりゆっくりと進む)の2つの国に大きな違いはないのかもしれない。 主義主張とかけ離れた体制はASEANの国と言うアンビバレンツな体制に他ないのだが、それでも日本に比べれば活気も有り、確実に発展・拡大している。
ただ、その歩みは非常に遅く、もどかしいほどであるが、それでも確実に進歩はしている。 最近の傾向ではベトナムの勢いが良いよりもよく感じられるが、惜しむべくは、経済開放政策を次々に打ち出すベトナムが共産主義体制をとっとと捨てて、 資本主義体制に移行すれば、タイを遥かに凌ぐ爆発的な発展を遂げられるのだろうに、それが出来ないもどかしさがある。
以下に、タイとベトナムを比較したマトリックスを作成したので、進出の前に参考にして頂ければ幸いである。
(2017年2月現在)
国都市 | タイ・バンコク | ベトナム・ホーチミン | ベトナム・ハノイ | |||
人口 | 1,500万人 | 2,500万人 | 2,000万人 | |||
電力 | 停電極稀 | 停電有 | 停電有 | |||
水 | 十分な供給 | 十分な供給 | 十分な供給 | |||
道路 | 整備発展済 (更なる整備が出来ていないのが問題) |
整備発展済 (更なる整備が出来ていないのが問題) |
整備発展途上 (どれだけ充分な道路整備になるかが課題) |
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渋滞 | 絶望的な渋滞 | 酷い渋滞 | そこまで酷い渋滞ではない | |||
空港 | スワンナプーム国際空港 | タンソンニャット国際空港 | ノイバイ国際空港 | |||
空港サービス | 2006年に近代的な空港としてオープンしたが、現在は年間4500万人の利用者となり、既にターミナルビルは大混雑で、機能不全気味。第二ターミナルや、滑走路の増設が望まれる。 | 2007年にODAによりオープンしたが、現在は年間1000万人が利用者している。きれいな地方空港のイメージ。空港内のファシリティが貧弱で、時間を潰すのに困る。 | 1978年にオープンし、2014年にODAにより第二ターミナルがオープンし、現在は年間1600万人が利用者している。ホーチミンと同じで、きれいな地方空港のイメージ。空港内のファシリティが貧弱で、時間を潰すのに困る。 | |||
空港対応 | あり得ないほどの手際の悪さ。イミグレーション・ポリスもヤル気のなさが滲み出ている。 | あり得ないほどの手際の悪さ。イミグレーション・ポリスに殺意を覚える事もしばしば。 | あり得ないほどの手際の悪さ。イミグレーション・ポリスに殺意を覚える事もしばしば。 | |||
港 | レムチャバン港 (チョンブリ県) |
ホーチミン港 (ホーチミン市) |
ハイフォン港 (ハイフォン市) |
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港-貨物取扱量 | 700万個(20ftコンテナ換算) | 600万個(20ftコンテナ換算) | 260万個(20ftコンテナ換算) | |||
港-将来的展望 | 1997年にバンコク港を抜いてタイ最大の輸出拠点となった。港周辺に自動車工場がならび自動車の輸出が拡大している。 | 2010年代に水深14.5mになる深海港のカイメップ・チーバイ港のターミナルが次々とオープンしており、北米向け輸出はASEANの中でダントツになっている。 | 水深14mになる深海港のラックフェン国際港を建設中で、完成により取扱量が倍増する予定。 | |||
工業団地 | アマタナコーン工業団地 | ロンドゥック工業団地 | 第二タンロン工業団地 | |||
工業団地 土地価格 |
150ドル/平米 所有権 |
90ドル/平米 50年長期借地権 |
90~100ドル/平米 50年長期借地権 |
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概要 | 地場のアマタ・コーポレーションによる開発。銀行、スーパーマーケット、病院、ゴルフ場、飲食店と都市型開発された近代的な工業団地。地盤土地の価格はタイは大分上昇して来てしまっているが、インドネシアの平米230ドルと比べると、まだ、少し安く感じる。 | 双日、大和ハウスによる開発の工業団地。インフラ的には、偶に停電があるとは入居企業の話であるが、インフラは素晴らしくタイに引けを取らない仕様になっている。(土地は購入できず使用権) | 住友商事に寄る開発の工業団地。ハノイと港の中間に位置する好立地。借地権は工業団地のオープンから起算なのであと39年使用できる。その後の延長は出来るだろうとの事。(共産主義国なので土地所有が出来ない) | |||
レンタル価格 | 6~6.8ドル/平米 | 5.2~5.5ドル/平米 | 6ドル/平米 | |||
コメント | バンコクから1時間通勤圏にあり、圧倒的な利便性と、知名度の高さでタイの工業団地随一。ベトナムと比較すると土地の購入価格や、レンタル価格が高いのがネック。だが、利便性を考えると土地購入や、賃貸工場への入居を決める企業も多い。 | 工業団地までの道路が整備されて非常に移動しやすくなっている。今後、高速道路が整備されると更に利便性が増す。リクシルの巨大な工場が大きな存在感。ホーチミン近郊では、有力な選択肢である工業団地。 | 首都ハノイ、ノイバイ国際空港と、ラックフェン港の中間あたりに位置し、新国道5号線が整備された物流に優れた工業団地。インフラも非常に整備されており申し分ない。ダイキン工業が22haの土地に工場を建設中であり、ハノイ郊外の工業団地では非常に興味深い。 | |||
ユニークポイント | 東南アジア屈指の自動車生産国。毎年100万台以上の輸出を行っており、今後、更に伸びる可能性がある。今後、タイからベトナムへの自動車輸出が拡大する見通しで、また、ミャンマーへの輸出も期待出来るなど更なる拡大が望める。(但し、軍事政権がマトモな政策眼を持って自己の利益ではなく、タイを発展させようと思っているのならば) | ベトナム随一の商業都市。どんよりとしたハノイと比べると、タイと同じ南国のノリ。気質は江戸っ子の様に宵越しの金は持たない。現在、地下鉄、新空港、高速道路とドンガメの動きではあるが着実なインフラ整備と、投資が進んでおり、若年人口が多いので消費が一段と拡大するのは誰の目にも明らか。 | ハノイはサムソンなどの韓国系企業の電気産業系が強い。特に、サムソンの携帯電話など生産基地。但し、部品は、ベトナム国内で調達できないので、輸入に頼っている。ただ、日系企業も、ダイキン工業がベトナム内需に対応するための巨大工場を作ったりと、今後のベトナムの消費拡大に向けて日系企業も大型投資が起こっている。 |