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近隣国の現状 - カンボジア

ASEAN近隣国の現状
カンボジアの工業団地の現状 「カンボジア進出のメリットは『おしんの世界』」
最終更新日 : 2014年10月
タイで仕事をしていると、定期的にジェトロさんがビジネスに有益なセミナーを無料で開催してくれる。そこで、今回は、「タイ+1 カンボジア経済特区紹介セミナー」と題して、 バンコク都内のホテル会場にてカンボジアへの進出の総論と、一部各論、そして、主な工業団地の紹介 のセミナーがあった。
筆者は、普段、タイへの進出をメインに商売をしているので、常々、タイへの進出もかなり成熟してきており、タイへの進出が良いのか、それとも「タイ+1」と呼ばれるASEAN近隣国に出て行った方が 良いのか、疑問に思う事があったので、今回のセミナーは一部参考になった。
掻い摘んで話をすると、ワーカーの最低賃金も100ドル/月でタイの約270ドルと比べるとまだまだ、安価な事と、工業団地の借地権もタイのそれに比べるとかなり安いので、そこが多くのメリットに成る、 との事であった。
但し、インフラ整備の遅れの影響もあり、電気の供給料金が高かったり(カンボジアで電気料金が一番安いだろうポイペットのSEZで5バーツ/kwhで、タイの3バーツ強から比べると約1.5倍であり、 インフラは未成熟である。水の供給は、タイよりは少し安く、タイで20バーツ/㎥ぐらいだが、カンボジアはそこから3バーツ位安い。

そして、一通りの説明が終わった所で、今回のセミナーでは疑問が大いにあったので、質問をぶつけてみる事にした。 「カンボジアでは、インフラ整備の遅れがあり、例えば電気なども途中で停電になってしまうと放電ワイヤーが止まってしまって金型作りに失敗したりする事がありえ、また、 ワーカーの最低賃金も2年前は60ドル/月から現在は100ドル/月と2年で6割も上がっている。しかも、NHKの海外ドキュメンタリー番組でカンボジアのデモの様子がTVで流れるくらいなので、 カンボジアの賃上げデモは酷くなり、以前、ミャンマーセミナーであったように、以前に進出していたのであれば、進出メリットは非常に高かったが今から進出では遅いですよ (特に、繊維関係)との事であったので、果たしてカンボジアは、どうなのか?」

と伺ってみたが、回答としては「それが分かったら、誰も進出に関して失敗する人は居ない。コンサルタントだったら、そんな事は当然考えるのではないですか?」との回答から始まったが、 「それを言ったらオシマイよ!」の世界で、上手くいくか行かないかは、誰にもわからないけれども、だからこそセミナーにわざわざ参加してカンボジアの実情を聞きに来ているのに、工業団地のスペックがどうだ、 電気代がどうだ、水道代が幾らだ、なんて事を延々とセミナーで説明しているのだが、そんなものは、エクセルシートに各工業団地のスペックを一覧に纏めて配れば良いだけの事で、更に、比較対象として、 タイの工業団地の例を1つ2つ付ければ、資料を読むだけで誰でも分かる事で、そんな事を聞く為に来たのでは無いのだが、どうもそこの所が分かっていない、講師陣であった。

これは、別に講師を批判する為に書いている訳ではなく、筆者自身もセミナー講師として、タイの進出のメリットやデメリットを現状に即して説明をさせて貰う事があるが、それでも、 本を読めば分かる程度のセミナーの内容であれば、それこそ、アンケート用紙に相当な批判を書かれる事を覚悟しなければならないだろう。それを分かった上での質問であったが結局、 疑問は解決しなかった。

で、セミナーが終わってから、Aと言うコンサルティング会社を経営しているFさんが筆者の疑問を氷解させてくれた。 『さっきの質問の答えだけど、何故、カンボジアに進出をするのか?それは「おしんの世界」が答えだよ。つまり、タイでは「おしん」の様に50分作業をして10分休み、 と言った単純作業を延々繰り返してやらせる事は殆ど不可能だけど、まだ、カンボジアではそう言った事に対する素養がある。そして、単純作業を苦ともせず黙々とやり続ける事が出来る ワーカーが居る。 だからこそ、カンボジアに進出するんだ』

成る程!合点がいった。また、この言葉でカンボジアに進出する最大のメリットが理解できた。